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生薬の「黄耆(おうぎ)」。このはたらきは補気薬といって、「気」を補う・元気をつけるはたらきがあります。

また、肌の生長を促す作用のあることが知られており、潰瘍やキズ口の修復に欠かせない生薬の1つでもあります。

糖尿病などの慢性病にかかっている人は、免疫力の低下から皮膚が化膿したり、頑固な掻痒症に悩まされることがあり、局部の小さな潰瘍やキズ口でさえも、完治に時間がかかる…ということにもなります。こんなとき、「黄耆」のはたらきが患部の組織の修復時間が短縮する助けをしてくれます。

胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、慢性口内炎などは、病気の部位は異なるものの、消化器の粘膜に起こる「慢性潰瘍」という点では共通しています。

いずれも「気」の不足からくる自然治癒力、修復力の低下というのが根底にある…と考えられます。そのため、「黄耆」が主薬の漢方薬で「気」を補いながら潰瘍の修復を促進するのが1つの改善法となります。特に年配の方のキズの治りは、若い人に比べて遅い…ですが、これも「気」の不足による自然治癒力、修復力の低下にあるように思います。

皮膚は外界に接している部分であり、気象変化などから体を守る役割をしています。

この防御機能は、皮膚表面を巡っている「気」である「衛気(えき)」の作用によるものとされています。

「衛気」が弱くなるとカゼなどを引きやすくなるため、「黄耆」を用いることで「衛気」を補い、抵抗力を高めます。「衛気」の不足は、この人体の第一防衛ラインを突破されると、アトピー性皮膚炎、花粉症、ぜんそくなどのアレルギー疾患を引き起こしたり、カゼ・インフルエンザにかかりやすくもなります。処方としては、「黄耆」を主薬とした「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」が有名で、日本では「衛益顆粒(えいきかりゅう)」として知られています。