こんにちは。
「ファイトケミカル」…。野菜や豆類、海藻、果物などの植物には、紫外線や有害物質、害虫などから自らの身を守るために作り出したと考えられる「色素」や「香り」「辛み」「苦み」などの成分です。「ファイト」とはギリシャ語で「植物」を、「ケミカル」は「化学物質」を意味し、ボクたちの健康維持や病気の予防に何らかの役割を有する機能成分です。
医薬品である鎮痛剤の「アスピリン」や、抗インフルエンザ薬の「タミフル」など、その多くの原材料は植物ですが、薬ともなるこれらの「ファイトケミカル」の種類は数千種類にも及ぶと言われています。
大きく分けると、ポリフェノール群、カルテノイド群、硫黄化合物群、多糖類、香気成分などに分類されます。
ポリフェノール
ポリフェノールは、全ての植物が含む色素成分、苦みや渋味成分で、個々の物質には様々な健康効果があると言われ、現在、その機能的役割が明らかになっています。
-フラボノイド系-
アントシアニン ・赤、青、紫などの水溶性の色素 ・目の網膜にあるロドプシンの再合成促進
ナス🍆、赤じそ、梅干し、黒豆、小豆、ブドウ🍇、ベリー類など
イソフラボン ・女性ホルモンのエストロゲン類似作用 ・更年期症状の緩和、骨粗鬆症予防
大豆、大豆製品など
ルテオニン ・抗アレルギー作用
赤じそなど
ヘスペリジン ・抗酸化作用、末梢血管強化 ・冷え症や高血圧予防 ・血中コレステロール低下
温州ミカン🍊、ハッサクの果皮など
ケルセチン ・ガン予防
タマネギなど
カテキン ・抗酸化作用、抗菌作用、血圧上昇抑制 ・血中コレステロール低下
緑茶🍵、紅茶など
-フェノール酸系-
クルクミン ・黄色の色素 ・胆汁分泌促進、肝臓の機能強化
ショウガ、マスタード、ターメリック(ウコン)など
クロロゲン酸 ・苦味成分 ・抗酸化作用 ・脂肪蓄積、血糖値上昇の抑制
コーヒー☕など
ショウガオール ・香りと辛味の成分 ・強力な抗菌作用、腫れや痛みの消炎作用
ショウガ
セサミン ・抗酸化作用、血中コレステロール低下 ・血圧低下作用、肝機能を高める効果
ゴマ
ロスマリン酸 ・抗酸化作用
ローズマリー、赤じそなど
カロテノイド
その名はニンジン🥕(キャロット)に由来し、植物に含まれる脂溶性の黄色から赤色の色素成分。食品によってその成分が異なり、自然界には約600種以上が存在します。抗酸化作用が強いと言われてます。
-カロテン類-
β-カロテン ・黄色や橙色の色素 ・プロビタミンA ・夜間視力の維持 ・粘膜の健康維持
ニンジン🥕、カボチャ、ホウレンソウなど
リコピン ・赤色の色素 ・抗酸化作用 ・LDL(悪玉)コレステロールの酸化を抑制し血流改善
トマト🍅、スイカ🍉、杏など
-キサントフィル類-
カプサンチン ・赤色の色素 ・抗酸化作用 ・動脈硬化の予防、脂肪燃焼の促進
トウガラシ🌶、ピーマンなど
β-クリプトキサンチン ・黄色の色素 ・抗酸化作用 ・糖尿病、動脈硬化、骨粗鬆症の予防
温州ミカン🍊、ポンカンなど
ルテイン ・黄色の色素 ・抗酸化作用、白内障などの予防
ホウレンソウなどの緑黄色野菜、卵黄🥚など
硫黄化合物
硫黄化合物は、ニンニクやタマネギなどネギ属の野菜のにおい、ワサビやダイコンなどのアブラナ科の野菜の辛味のもと。そのにおいの成分には強力な抗酸化作用や抗菌作用があり、また血液凝固を抑制して血流を改善する働きもあるので、動脈硬化を始めとする生活習慣病や老化、ガンなどの予防に効果があるとして注目されています。一般に硫黄化合物は生で食べると効率よく摂取でき、加熱したりすると効力が弱まる…と言われています。ただし、これらの成分の中には刺激が強いものもあり、胃腸の粘膜を起こすことがあるので注意が必要です。
アリシン ・細胞中のアリイナーゼにより生成する成分 ・抗ガン、抗菌作用、疲労回復効果
ニンニク、ニラ、タマネギなど
アリルイソチオシアネート ・辛味成分 ・免疫力を高める効果、抗ガン作用
ダイコン、からし菜、ワサビなど
スルフォラファン ・イソチオシアネートの一種 ・抗酸化作用、抗ガン作用
ブロッコリースプラウト、キャベツ、カリフラワー、ダイコンなど
多糖類
イヌリン ・複数の果糖が結合した物質 ・血糖上昇抑制、中性脂肪低下
ゴボウ、チコリ、タマネギなど
β-グルカン ・免疫力を高める効果、コレステロール上昇抑制
キノコ類🍄など
フコイダン ・海藻類のヌメリに含まれる細胞間粘質多糖 ・抗ガン作用、血圧安定化作用
海藻類など
ムチン ・ヌメリに含まれる糖タンパク質の混合物 ・細胞や胃壁などの保護
ヤマノイモ、オクラ、ナメコなど
香気成分
リモネン ・リラックス効果 ・血流の改善効果
ミカンなどの柑橘類の皮
メントール ・免疫力を高める効果
「ファイトケミカル」には、強力な抗酸化作用を持つものが多いことが分かり、食事を通じてアンチエイジングの効果が期待されています。
そんな「ファイトケミカル」の多くは細胞の中にあり、頑丈な細胞壁に包まれているので、野菜を噛んだり、包丁で細かく刻んだ程度では細胞壁は壊れないため、有効成分を吸収できないそうです。
有効成分を効率よく摂るにはどうするか…。それは野菜を加熱してスープとして摂ることなのだそうです。野菜をゆでることで頑丈な細胞壁はあっけなく壊れ、抗酸化物質の「ファイトケミカル」がスープに溶け出すのだとか。
野菜の活性酸素を消去する働きは、生野菜をすり潰したものより、野菜を煮出したゆで汁の方が10~100倍強いそうです。それで考えると「漢方薬は生薬を煎じたもの」。しっかりと煮込んだスープでもある漢方薬は「ファイトケミカル」を多く含んでいることで効果が発揮されているのではないかと思います。
ミントなどのハーブ類